久しぶりの更新です。今日は、セーロについてちょっと書いてみようかと思います。セーロというのは踊り・唄の名前で、国東半島に伝承されているものです。ヤッテンサンノ、ヤンテコサン、ヤンテンセーロなどいろいろな呼び方がありますが、いずれも唄の囃子言葉からきています。段物の唄です。
よんべ (セーロ) 山香の踊りを見たら (ヤッテンセーロ)
おうこ (セーロ) かたげて鎌腰差して (ヤッテンセーロ)
踊る (セーロ) 片手じゃ稗餅ゅこぶる (ヤッテンセーロ)
♪山香町のセーロを聴いてみる♪
これは山香口説を乗せた例ですが、このように非常に単純な唄で、おそらく国東半島や速見地方の盆踊り唄の中ではもっとも簡単です。踊り方もまことに単純で、たったの8呼間で最初に戻ります。たとえば「よんべ」で踊り始めるとすると、「踊りを」でもう8呼間ですから「見たら」からはまた最初の動作になるのです。ですから、あまり長く踊ると飽きてしまいますので、この踊りがメインに踊られることはまずありません。大抵他の踊りの添え物的に踊られます。ただ、テンポがいいので楽しい踊りではあります。
セーロのいいところは、小さな子供でも簡単に踊れる点です。六調子やさえもんなどシナを作るような緩いテンポの踊りはなかなか踊れなくても、簡単な腕の振りと手拍子だけの、ほとんど歩いて進むだけのセーロは簡単に踊ることができます。また、唄や踊りは単純でも急テンポの太鼓は勢いがあり、非常に躍動感があります。ところが、近年セーロを踊らなくなった地域がとみに目立つようになりました。地域ごとの伝承状況を見てみましょう。
・杵築市
以前はよく踊っていたが、近年は踊らない集落が多いようです。ただ伝承はされており、唄や太鼓、踊りができる人もまだまだたくさんいます。おそらくあまりにも簡単な踊りなので省略されているだけだと思われます。若年層はこの踊りを知らない場合もありますが、一定の年齢以上の人だと大抵の人が知っています。セーロ、セーロというお囃子が印象的で、記憶に残っているようです。
・安岐町
踊らない集落もありますが、大抵は今でも盛んに踊られています。杵築では踊るとしてもほんの少しだけですが、安岐では比較的長く踊ることが多いように思います。
・武蔵町、国東町
大昔は踊っていたそうですが、もう踊らなくなって久しいようです。
・大田村
安岐町と同じく踊らない集落もありますが、今でも盛んに踊られている場合がほとんどです。
・豊後高田市
田染の一部でのみ踊られているようです。昔は草地踊りでもセーロ(ヤンテコと呼んだ)を踊りましたが、おそらく踊りがあまりにも簡単だからだと思いますが、現在は省略されています。
・山香町
向野、山浦、南畑をのぞいて町内全域で盛んに踊られています。山香のセーロは特にテンポが速く、西国東の六調子に匹敵します。踊り方も杵築や安岐のものとは違っていて、まるで糸車やこま回しのように大きく右側に回りこむ踊り方です。他の踊りと同程度に扱われており、たいへん親しまれています。おそらく現在もっとも頻繁にセーロを踊っているのは山香町の各集落でしょう。
・日出町
大昔は踊る集落もあったそうですが(おそらく大神や藤原、川崎)、踊らなくなってから久しいようです。
このように、セーロを踊るところはだんだん少なくなってきているわけです。とにかく唄も踊りも簡単すぎることからか、しばしば省略されたり軽視されることの多いセーロですが、誰にでも踊れる楽しい踊りでもあるのですからこれからも細々と伝承されることでしょう。簡単すぎてふっと口ずさむにはあまり楽しい唄ではありませんが、勇ましい太鼓に乗ると途端に楽しい唄になります。踊りも、簡単すぎると感じますが子供もお年よりも、皆で踊れば楽しい踊りになるように感じます。

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