2018/6/12

4473:平坦区間  

 軽いギアに替えて、ケイデンスを上げた。私はどちらかというと、重めのギアでトルク重視で走っていくことが多い。

 そうすると脚の筋肉に負荷がかかるが、心肺は少し楽である。今は右脚の太腿に攣る前兆が現れてきたので、筋肉にかかる負荷を軽減したかった。

 呼吸は既に余裕はなかった。高めのケイデンスに合わせるかのように呼吸のテンポもさらに上がった。

 右脚の太腿の痛みの瘤は一気に拡大することなく、逆に少しづつ小さくなっていった。15km地点を通過する頃合いにはほとんど気にならないほどになった。

 そこで、ギアを替えて、スピードも若干上げていった。15kmから20kmまでの5kmは、タイムを決めるうえでとても重要な5kmである。

 脚も体もかなりきつくなってきている。ここまで来ると周囲の流れも少し淀みがちになってくる。周囲の流れに合わせてしまうと、タイムが伸びない。

 ここでもトレインが役立つ。ちょっと速めのトレインにとりあえず飛び乗ってみる。しばしその後方で必死についていき、「これ以上は危険・・・」と感じたら降りる。

 トレインがない場合には、ちょっと速めのペースで走っている参加者のすぐ後ろに付かせてもらって、即席2両編成のトレインを形成させてもらって、力を借りた。

 肉体的も精神的も厳しいこのエリアは、単独走ではどうしてもたれてしまいがちであるが、周囲の力を借りて踏ん張ることができた。

 20km地点が近づいてきていた。その経過タイムが気になるところである。1時間13分以内で通過できれば、1時間25分切りの可能性が高い。

 20km地点の手前1kmは山岳スプリント区間であり、その1kmの計測タイムも別途測られる。その山岳スプリント区間に入っていった。

 斜度が厳しいこの1kmをどうにかこうにか気持ちを切らさずに走り切ると、20kmと書かれた看板の横を通過した。

 20kmの通過タイムは1時間12分14秒であった。残りは4km。「いける・・・うまくいけば1時間23分台のタイムも出る・・・」心のなかでそう思った。

 ここでサイクルジャージの背面ポケットに入れておいた補給ゼリーを取り出して、一気に口の中へ流し込んだ。それを飲み込み、終盤に備えた。

 山岳スプリント区間が終わると、しばし斜度が緩む。脚を休ませたいところであるが、気持ちを奮い立たせて鞭を入れた。ゴール手前の平坦区間が待ち遠しかった。

 しかし、平坦区間の手前にはとても厳しい斜度を有する奥庭駐車場エリアが待ち構えている。その厳しいエリアにさしかかった。

 「ここを超えると平坦区間・・・」というかすかな希望を心の支えにしてダンシングで走った。やはりここは苦しい。苦悶の表情で上りきると、斜度がすっと緩んでいった。

 平坦区間が始まった。ここはフロントギアをアウターに入れて走る。40km/hぐらいで走っているトレインに付けるか否かで結果が大きく左右される。

 すぐ手前で形成されたトレインの後ろに付いた。しかし、スピードが上がらない。30km/hぐらいであったので、すぐに降りて前に出た。

 しばし単独で走ってもう一つのトレインに乗った。しばらくその後ろに付いていたが、このトレインも35km/h止まりであった。

 「これもダメか・・・単独で行くしかない・・・」そう思って右に出て、クランクに込める力を増していった。

 この後は単独で40km/hぐらいのスピードで走っていった。息が切れた。空気抵抗を遮ってもらう先導者はいなかったが、気持ちは高ぶっていた。

 平坦区間の終わりを告げる三つ目のトンネルを通過した。このトンネルの向こう側はまた斜度が上がる。最後の試練が待ち受けているのである。



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