今年も参加していた題詠100首。
完走したので並べてみます。
題詠100首2008
001玄関を出たら空からおはようがわたしに向かって降ってきました
002銀行の次の信号左折したところで見える窓のないビル
003ウエストが2センチ落ちた理由なら話す準備は整っている
004塩サウナでごろごろしたら5分後に新巻鮭と呼ばれてもいい
005明け方に放射冷却されるのは雲の毛布がないからだとか
006密やかにわたしの中で進行しドラマはすでに最終章へ
007珪藻土入りの壁紙を貼り付けて吸着したいものだらけです
008かんたんなルールも守れないようなひとが増えてる(わたしを含む)
009夕焼けは空と地球と昼と夜が大人の会話をしているところ
010毒のある鱗粉をもつ蝶だからサナギの色も特別らしい
011回りくどい挨拶だとか面倒な手続き部分の除去を奨励
012一部では炊飯釜の差別化に貢献しているダイヤモンドよ
013おじさんが急に優しくなったからちゃんとさよならすることにした
014ボーリングしようって別に温泉を掘ろうと誘っているわけじゃない
015水槽を押し広げそうな勢いで大きくなったアジアアロワナ
016レモン果汁1%を含んだらトマトジュースもトマトカクテル
017頭から追い出すことができなくて君の住所はまだ残ってる
018どんぐりを集めてきては埋めておく秘密の場所が思い出せない
019自転車の鈴とラッパを鳴らしつつ豆腐屋が来る 夕暮れも来る
020逃げ出した鳩を探してきてください もうすぐ3時になってしまうよ
021偏見とわかってるけどイメージ上サッカー選手はチャラチャラしてる
022毛筆で「低い志」と書いて逆さに貼っておけば安心
023アルバイトみたいに感想文を書く 原稿用紙5枚で映画
024遠くからカモメの群れがやってくる 魚河岸沿いのビルをかすめて
025クルトンの代わりになると思えない田舎あられを散らしたサラダ
026目立たずに真ん中へんをキープする 開花予想の基準木でも
027道の駅で買った檜のまな板は日光消毒させていただく
028提供を読み上げている女子アナの声がわずかにふるえています
029レンタルの松葉杖でも3ヶ月経てば名前をつけていました
030液体か気体かなんてコーヒーの湯気を解析するのはやめて
031忍術の免許皆伝(伊賀流)の講師は地方公務員かも
032ルージュって呼ぶには少し青すぎる口紅を塗り封印します
033どことなくすいかの味がするような気がしませんか ポカリスエット
034太秦で大岡裁きの名場面体験企画が目白押しです
035「君にどんな過去があっても気にしない」とバイクに話しかけてる兄よ
036海あけを待つ港では船乗りと砕氷船がアイドリングを
037前の歯で下唇をはじく癖 Vの発音しているだけさ
038同じときに同じところにいなくても胸の痛みを共有できる
039いつまでも王子のままじゃ気の毒と側近達にささやかれてる
040完璧の一歩手前でやめておく 生地に粘りを出さないように
041存在をアピールしてるのでしょうか ネコのしっぽの微妙な動き
042青魚の皮を剥ぎ取る指先が鱗粉みたいな銀色になる
043駅裏の目立たなかった宝くじ売り場が天に伸ばす看板
044全力でペダルを踏んでいる君は鈴鹿おろしに押し戻されて
045コレクションしているつもりはないけれど同じ楽譜が2冊ずつある
046新しい公共施設にあるような優しさならばあまり要らない
047街灯のない場所に咲くひまわりは地面の中に光を探す
048握られた糸をふるわせ鳴り凧の音が耳にも手にも届くよ
049礼状は堅苦しいと思うけど律儀なくらいがちょうどいいので
050おばさんの畑でとれたはっさくが甘い確率を計算しよう
051住みにくい世の中ですねと言いたげな北極熊にロックアイスを
052ぐるぐるとおんなじことを考えてあたまがバターになってしまうよ
053通学も通勤も徒歩圏内で縁がなかったキヨスクのパン
054始まりを告げる草笛(園庭のニセアカシアの真っ白な花)
055ついさっき乾燥機から取り出したまだ温かいタオルを使う
056悩みならハグという名の生き物の好物だから与えてごらん
057新しい靴とパジャマとブラを買い修学旅行の準備はおわり
058小学校一年生の全員に黄色い帽子が支給されます
059ひとつぶの氷砂糖を含ませる 朝ごはんとは呼べないけれど
060どうみてもふさわしいとは思えない新年会にさくらと一郎
061大文字の@を並べたら中華の器の模様になった
062危険度は浅い深いの違いより川の流れの速さで決まる
063真夜中のコンビニエンスストアにはハローキティのスリッパの群れ
064純情でも可憐でもなく乙女とは対極にある生き物だから
065原因はワイパーらしい 雨が降るたびに目眩におそわれるのは
066大きめのひとりごとだと思うけど何か返事をしたほうがいい?
067青葱の根もとを長く切り落としプランターから家庭菜園
068花びらが踊りながらも確実にわたしの上に落ちてきました
069眠ってはいない呼吸で目を閉じて君をむかえる準備だけして
070国籍を取得できないひとたちが集まる場所としての公園
071未送信メールを保存しておいてまとめて送りつける計画
072どちらかといえば緑に見えるけど茶色と呼べるような作業着
073あてもなくただ寄り道がしたいだけ 帰りたくないわけじゃないのに
074「銀行へ行ってくるね」の暗号を解読されてしまわないよう
075規定量以上に製造されたから隅の方からあふれてしまう
076ジャンプするならふわふわの草の上で コンクリートやアスファルトじゃなく
077いつまでもあなたの横を離れないように時間を切り取る写真
078号令も合図もなしに集ってはまた散る人の流れを見てた
079新生児室は午後からほんのりとシッカロールの香りがします
080劇場のバターの効いたLサイズポップコーンを夕飯にする
081黙ってるのは凪いでいるからじゃなく嵐が去るのを待っているだけ
082縁日ですくった金魚3匹は自由研究されずに去った
083天候を気にするまでもないでしょう 日傘も傘もいらない名古屋
084まっすぐな球でも芯を外したら打ち返すことができないままだ
085音程をつけてうがいをしたほうが楽しくなるんじゃないかと思う
086恵まれていると気づかず生きている方が幸せなのかもしれない
087羽根のない空を飛べない天使でもいいからすぐにわたしの元へ
088特別な加工を施すことはなく目の錯覚を利用するだけ
090丁寧にニッケルメッキを施してようやく金に塗られたメダル
091真っ先に喉の渇きをうるおして事後報告を始めましょうか
092母親の生い立ちなんか知らなくていいけど祖父のは聞いてみたいな
093チャンネルを合わせるように耳を寄せあなたの周波数を受け取る
094話したいことがたくさんあったから沈黙の中へとかしておいた
095猫みたいにしっぽの先で話せたらもっと上手に伝わったかも
096物事を複雑にする方が好き 時間をかけてわたしを解いて
097こんな愛ならいらないと訴える予防接種に並ぶ犬の目
098岩を割るように湧き出る地下水に直接口を近づけて飲む
099受け容れる勇気と拒絶する勇気 その中庸を貫く勇気
100今日はもうこれでおしまいおやすみとわたしに告げるための「おやすみ」
お題は
題詠100首2008を参照ください。
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