金沢駅東口から100円で市内を巡行するバスが出ているとバス停の柱に書いてあったので、寒さに耐えながら待ったが、来ない。よく見てみると、土曜日曜祝日のみの運行とのことである。少し、いやになってタクシーを頼む。まずは兼六園と思い、兼六園までという。少しするとタクシードライバーが「三時間で一万円で観光をするけどどうか、メーターとは関係なく」という提案をしてきた。初日はそれでもいいかと思い、承諾する。兼六園、金沢城公園、ひがし茶屋街、主計町茶屋街、長町武家屋敷跡などにつれて行かれる。兼六園では使われている石が地元で採れる柔らかいもので、人があんまり通ると減るので、今は有料にしてしまった。昔、無料の頃には女子高生が朝夕通学の折に利用したものだとか、噴水の仕組み、金沢と五木寛之との関係、金沢での銘菓といえば、かつては落雁であったが、今は〜であるなどという話を聞いた。
話は何回何十回もしているものであるようで、すらすらと出てくるが、こちらが質問をすると詰まったりしそうな話っぷりである。結局四時前に近江町市場という金沢駅から20分ほどのところで、夕食はそこで取るようにすすめられて下ろされる。三時間には程遠く、メーターも七〇〇〇円台である。私はずいぶんと田舎者に見られたようだが、誠実さに問題のある輩と長くいることに耐えられなくなってきたので、田舎者のままタクシーを降りることにした。

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