読む本に考え方や口調がすぐに影響を受ける私は、この本を読んで、割り込んでくるおばさんに「あなたのしていることは、後から来たものが先にいた者よりも前に並ぶということだが、それは、時間を逆行させることだ。あなたのおなかが朝になったらぺったんこになり、顔から皺が消えて、ゆで卵みたいになるのと同じだ。」といったらきっと泣かれるか、ひっぱたかれるか、駅員に逆に告げ口をされるかのいずれかであろう。法律家の本を読むと、幸せは遠ざかり、紛争に巻き込まれるのである。
本書は19世紀から20世紀にかけてのUKの法廷を中心に法律家たちの「活躍」を描いている。階級社会のイギリスにおいては、弁護士になるのも、一定のものに限られており、庶民の味方のような顔を時折する日本とは事情が異なり、弁護士もユーモアの対象とされるようだ。(現在はどうか分からない。また日本において、貧乏人の子が法律家になることは、貧乏ということ以外は恵まれた環境に育ったという稀有な例だけであろう)
本書はなかなか面白いが、少し工夫が必要である。訳者は弁護士で、翻訳を弁護士たちの文芸雑誌に載せていたものなので、素人には若干読みにくい。イギリスにおけるー英米法におけるー裁判や法曹について少し解説を置いて欲しい。また、英語の駄洒落はあまり日本語では面白くないので、日本語でも駄洒落にするか、いっそのこと割愛して欲しい。また、細かい話がおおくならぶが、これは疲れてしまうので、まとめて、解説つきにして欲しい。この頃、裁判を題材にした面白話集みたいなものが刊行されているので、この本も二匹目のドジョウを狙ったものかと思われてしまうかもしれないが、類書に比べて気品が違うのである。(価格も違うが)

ジョン・エイ著・(John Aye)小野誠之(おののぶゆき)訳2007・6・20初版発行217ページ1300円潮出版社

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